マンチェスターシティvsレスターシティ コミュニティシールド2021 両者が見せたビルドアップとは?
1. スターティングメンバー
青:マンチェスターシティ
赤:レスターシティ
【スターティングメンバー】
マンチェスターシティ(4-3-3)
GK ステッフェン
DF カンセロ、ディアス、アケ、メンディ
MF フェルナンジーニョ、ギュンドアン(65分 ロドリ)、パーマー(74分 B・シウヴァ)
FW マフレズ、エドジー(65分 グリーリッシュ)、F・トーレス(74分 ナイト)
レスターシティ(4-2-3-1)
GK シュマイケル
DF ペレイラ、アマーティ、ソユンク、バートランド(78分 L・トーマス)
MF ディディ、ティーレマンス(72分 スマレ)
ペレス(71分 オルブライトン)、マディソン(71分 デューズバリー・ホー ル)、バーンズ(78分 イヘアナチョ)
FW ヴァーディ(71分 ダカ)
2.マンチェスターシティ
2-1. 新フォーメーション2-3-5で見せたシティの狙い
マンチェスターシティが今シーズン取り組んでいるビルドアップの特徴は両サイドバックを内側に絞って相手を中央に密集させる戦術。センターバック2枚の前方中央にボランチ1枚と両サイドバックを配置する2-3-5のフォーメーションである。昨シーズンDFカンセロが内側に絞ってビルドアップを行う形は見せていたが、逆のサイドバックはサイドに張って幅を取っていた。両サイドバックが内側に寄ることで可能になったビルドアップを紹介する。前半29:40~の場面をご覧ください。
右サイドバックのカンセロと左サイドバックのメンディが内側に絞った状態でビルドアップをスタートさせる。センターバックのアケがボールを持った瞬間に左前方でサイドに張っていたギュンドアンが内側へランニング。そこのスペースにエドジーが流れてボールをもらい、フリーで1対1を仕掛ける場面になった。アタッカーにとってドリブルがしやすい広大なスペースがある状況を作り出した。
2-2. 新たなビルドアップからアタッキングサードへ
先程も紹介したマンチェスターシティが今シーズン取り組んでいるビルドアップの特徴は両サイドバックを内側に絞って相手を中央に密集させる戦術。新加入のグリーリッシュが投入されてからも同様の狙いが見られた。後半69:40~の場面をご覧ください。
右サイドバックのカンセロと左サイドバックのメンディが内側に絞った状態でビルドアップをスタートさせる。センターバックのアケがボールを持った瞬間に左前方でサイドのグリーリッシュが後ろに降りてきてボールをもらい、レスター右サイドバックのペレイラを引き出し、そのスペースにインサイドハーフのパーマーがランニング。レスターはボランチのティーレマンスが付いていくがパーマーに前を向かれて1対1を作られる場面に。ここはティーレマンスの素晴らしい対応でレスターは難を逃れるが、マンチェスターシティは狙い通りのボール回しが出来たように見えた。
3.レスターシティ
3-1. 新加入バートランドが見せた可能性
今夏にサウサンプトンから加入した左サイドバックのバートランドがスタメン出場していた。彼が加入したことによって左サイドから崩していく展開が見られた。前半11:02~1のシーンを抜粋してレスターが見せたプレス回避をご覧ください。
試合を通じてバートランドがいることによって、左サイドバックにプレッシャーをかけられても中央の選手にボールを配給できるようになっている。前半16:10~も同じようなシーンが見られた。バートランドはプレス回避の重要な選手として機能するだろう。今シーズンのレスターのビルドアップを見る上で左サイドバックのバートランドのポジショニングとパスコースに注目していきたい。
3-2. GKシュマイケルを経由したプレス回避
前半レスターシティのビルドアップに手を焼いていたマンCが20分過ぎから前線からのプレス強度を高めていく。GKまでプレッシャーをかけてくるマンCのハイプレスに対して、レスターが見せたビルドアップをご覧ください。
GKシュマイケルのプレス耐性の高さと安定したキックがレスターのビルドアップの完成度を高めている。GKシュマイケルがボールを持った際、センターバックは横に大きく広がりサイドバックを押し出し、GKシュマイケルからボールを受けられる位置どりをしてるシーンがこの試合で何度も見られた。前線からのハイプレスを回避すると中盤には広大なスペースがあるため、MFマディソンとMFペレスがそこを自由に使える。アタッキングサードで左サイドのMFバーンズやFWヴァーディーがゴールへ向かって仕掛ける事が可能になる。
4. 両チームビルドアップの課題
・マンチェスターシティ
サイドに広いスペースを作ってからサイドへボールを動かしたい意図を感じるが、相手がマンマークでタイトな守備をしてきた時にボールロストすると、一気にカウンターのピンチにつながってしまう。インサイドハーフがサイドに流れてボールを受ける時に相手のプレスが早いと相手を背負う受け方になってしまう。内側に絞っているためサイドバックのフォローも得づらい。前半23:20~のシーンではインサイドハーフのパーマーがエンディディを背負ってボールを受けたが、ボールを奪われてピンチになった。アタッキングサードまで運べればカウンターのリスクも軽減できるが、低い位置で相手を背負ったプレーには注意が必要になるだろう。
左センターバックのソヨンチュから素早くバートランドへボールを運べると期待感が持てるビルドアップになるが、ソヨンチュがプレッシャーを掛けられて大きく蹴らざるをえないシーンが増えるとボールロストの確率が上がってしまう。決してソヨンチュは足元の技術がない選手ではないが、判断が遅くなる場面があるのも事実だ。GKのシュマイケルとバートランドという頼れる2人が近くにいるため、ここは素早くボールを動かしたいポイント。ティーレマンスとマディソンが良い形でボールを受けられればレスターはチャンスが増えるだろう。